<未来のだるまちゃんへ>

未来のだるまちゃんへ <未来のだるまちゃんへ> かこさとし著 文藝春秋

えほん館に加古さんの娘さんがご来店くださったのは、2年前の夏のことでした。
出張に伴う偶然のご来店でした。
業界の人かな?と思いながら少しお話した後、「失礼ですけど、業界の方ですか?」とお尋ねしたら、
「加古の娘です。」
?????
かこのむすめ???
数秒置いてやっと時間が動き出した私は、もう、びっくり!!
「えーーーーーっ!加古さんの娘さんですかーーーーーっ!」
その後はもうお祭り騒ぎでした(笑)
仕事のついでにせっかくだから地元の本屋さんに行ってみようと、パソコンで調べたら、えほん館が出てきたとのこと。
小さな店に加古さんの絵本が並んでいるのを心から喜んでくださり、その後お手紙と一緒に加古さんのサイン本を送ってくださいました。
文中の「父に話しましたところ」という言葉に舞い上がってしまいました!

加古さんが、えほん館を認識してくださった歴史的瞬間やー!

と、感動して泣けてきました。
こんな日が突然訪れるなんて・・・
えほん館を続けて来て良かったと心底思いました。
私にとってこれは本当にすごい事なのです。。。

今年の9月17日にMBSのvoiceという番組で加古さんのインタビューが放送されました。
http://www.mbs.jp/voice/special/archive/20150917/
加古さんの「生き直したい」という言葉に涙が溢れました。
なんという重い言葉か・・・。
飛行機に乗り戦争に参加しようとしていた事を心底悔い、残りの人生を子ども達の未来の為に生きようと決心された加古さん。
これだけの素晴らしい作品を生み出され、子ども達に真の豊かさを与え続けておられるというのに、昨今の日本の流れを憂い、ご自分のやってきた事は「失敗だった」と。。。

先日大学の授業の中の「絵本作家」の回で、加古さんの事を取り上げ、学生達に加古さんのインタビュー映像を見てもらいました。
ーこんな体験からこんなふうに思って絵本を作っておられる作家さんがいるー
それを知ってもらいたかったのです。
学生達は、私の予想以上に様々な事を感じ、受け取ってくれました。
嬉しかったです。。。

<未来のだるまちゃんへ>の中にこんな言葉があります。

「ただ、大人はあくまで裏方でね。あんまりあれこれ言わない方がいい。消えている方がいい。僕はそう思います。人間だって生物だということを忘れないでほしいのです。子どもたちも生きようとしている、その生きる力をどうかみくびらずに信じてやってほしい。
近ごろは、親御さんが過保護なのか、心配性なのか、子どもにあれこれ構いすぎる感じがします。僕は「大人は、大人のことをしっかりやれ!」と言いたいですね。
大人としてやるべきことをきちんとやらないで、子どもをどうにかしようたって、出来ない相談でね。子どもには大人の代わりは出来ないように、大人は子どもにはなれないのですから、まずは自分が一個の大人として立派にやってくださった方がいい。
そうずれば、子どもたちは、いつだって見事な大人を観察しては、ひそかにみならって努める素晴らしい生物なのです。」

心して生きようと思いました。