「王への手紙」

不完全燃焼!
昨日は、京都私立朱雀第四小学校へ保護者の方にお話に伺いました。
普段は絵本の話をする事が多いのですが、今日は「読書」についての話だったので、
読み物(児童書)の話も出来るとウキウキして出かけて行きました。
ところが・・・
本の話をすると止まらなくなる私。
頂いている1時間半が足りなくて、大好きな「王への手紙」の話が出来ませんでした。
久しぶりに児童文学を伝えられる機会だったのに。
そこまでたどり着かなかった(泣)
不完全燃焼なので、ここに書くことにしました。

「王への手紙」上・下 トンケ・ドラフト作 西村由美訳 岩波書店(中学生~)
は、私の生き方を変えた大切な本です。

ーーー 騎士になるための最後の試練の夜。16歳の見習い騎士ティウリは、見知らぬ男に重要な手紙を託された。思いがけない使命を与えられ、大山脈のかなたの隣国へと向かったティウリの行く手には、陰険なスパイやさまざまな陰謀が待っていた。。。---

10年前に読んでから、確実に人生が変わりました。
私の好きな冒険ものなので、読み始めたら止まらなくなる面白さでした。
ラストも素敵でした。

読み終えて幾日か経った頃、ハッとしたのです。
「たった16歳の少年が隣の国の王様に内密の手紙を届けるなんて、とても出来そうにない事をやる羽目になったけど、ティウリがやった事は、いつも「目の前のこと」に対してだけやったんちゃう!?」
途方もない目標へと矛先は向けているけれど、彼がやったのは「今、自分の目の前にある事をどうするか」。
ただそれだけ。
それが結果へと結びついていく。

彼に出会うまで、夢を持ったり目標を持ち計画を立てることばかりが大事だと思って生きていましたが、そうではなく、「今、自分の目の前にある事を精一杯やる」事が大切な事だったと、彼から気付かせてもらいました。

その時から、私の仕事の仕方は変わりました。
「損得」を基準にしなくなりました。
大きな仕事であろうが雑用であろうが、目の前にある仕事を目の前にある順にやっていくようになりました。
すると、暇だった当時は、「今日の仕事」が午前中で終わってしまいます。
そしたら午後には「今、見えている明日の仕事」をやりました。
次の日には「今、見えている今週の仕事」をやりました。
その次の日には「今、見えている今月の仕事」をやりました。
すると、「今、見えている未来の仕事」が全部終わってしまいました。
もう、やる事はありません。

どうしょ・・・やる事なくなったで。

その時電話が鳴り、仕事が入って来ました。
しばらくするとまた電話が鳴り、別の仕事が入って来ました。
次の日も、また次の日も。。。

それ以来私は過去にやっていた「目標設定」を完全に止めてしまいました。
私の場合、自分の設定よりも「お任せ」の方が、はるかに面白い人生になっていきます。
私が考えられない素敵な所へ導かれていきます。
でも自分に正直である事は大事です。
「こんな風になりたいな〜♫」という「設定」をして、あとはお任せ。
やる事は「今、目の前にある事」だけです。
目の前にある事が、自分の設定とかけ離れた事のように思えても、
実はそうではないんですよね!
全ては完全に結びついていくのです。ある一点に向かって。
すごいです。感動します。

私はティウリから「宝物」になるメッセージをもらいました。

もちろん、世の中の人がみんな「王への手紙」を読んだら大きな「宝物」をもらえる、
なんてことは全く思いません。
そうではなく、
児童書っていいよ。すごいよ。素晴らしいよ。
という事が言いたいのです。

「生まれてきてよかったんだ、と子どもにエールを送るのが児童文学」

有難いことに、私はエールを送られ続けています。
「物語の力」のおかげで何度人生を救われたことか。

「物語の世界」は遊びに行くところです。学びに行くところではありません。
だからこそ、素敵なことが起こるのです。。。

(ちょっと、スッとした。)

王への手紙トンケさんの挿絵もいい!